会員様から

「アートのなぞなぞ」高橋コレクション展
 図録が届いた。オープニングの日に間に合わなくて、郵送で1ヶ月遅れでやっと届いた。こんなに待ち望んだ図録は初めてだった。展示作品は100点・県美の作品は30点の図録だ。
 今回のオープニング用に届いた紹介状は2017年12月一般公開の前日だった。
テープカット後作品を観つつ移動していると、若者が作品について学生風の子供たちにレクチャー的に話している場面に出会った。若者は移動しつつレクチャーが続いていた。何かなと思いつつ聞き耳を立てた。どうもこの作品展の作家さんらしい。そこで「どの作品の方ですか?」とたずねると「梅津庸一です。作品はあっち」と前方の作品を指差した。急いで観にいくと、県美所蔵のラファエル・コランの≪想い≫と難波田龍起「ミクロの世界」の抽象画の間に梅津さんの作品「フロレアル」「Sprig leg」「デロリモーニング」があった。
「フロレアル」は美しい裸体の作品だった。ところが、しばらくして梅津さんがたどり着いて「これ・・・僕がモデルです。日本の美術は黒田清輝によってコランから近代洋画を形成しているけど・・今の日本の美術教育に僕は批判的です」と話した。モデルが彼自身ということは自画像? 一寸観ただけでは、女だと思うほど綺麗だった。梅津さんの作品は高橋コレクションだけど、両側の作品は静岡県美の館蔵品。今回の展示はただ高橋コレクションだけではなく、館作品との組み合わせで、一見似たモチーフだけど、その関係性を考えてほしい組み合わせの展示方法にしている。「この両脇の作品の選択は誰がしたの?」「僕自身ですよ。」「図録から選んだの?」「県美の倉庫の中の実際の作品から自分で選びました」そんな返事をフランクに話している梅津さんを好ましく感じた。
 オープニングの2日後、県美講堂で『高橋龍太郎×西尾康之の対談』もあり、出かけてみた。高橋氏の興味・感性・才能は私の知識の範疇を超えすぎて脱帽だった。「病的な世界を病的に表現している作家の作品をコレクションして僕自身の病的なものとのバランスをとっている」・・・ぶっちゃけたら自分の病的な部分を 作品を買う ことでバランスをとっている・・ということでもあるらしいと理解した。参加して何故か私の心が重くなった対談だった。
 今回届いた図録の高橋氏は、「国宝だ。古代だ。中世だ。江戸だ。近代だ。洋画だ。日本画だ。現代アートだ。そんな小さな領域に区分することは、あと付けに過ぎない。今生きている私たちが、混ぜてしまえば、皆同じものである。アートとは時代を超えた人間の過剰さの美しき結品なのだ。がらがらぽん 何でもありでやっていかねば。」と書いていた。肩の力を抜いて、観て楽しまなくちゃ。と私も思った。
有難い図録だった。


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2018年03月22日 Posted by県美友の会 at 11:06 │トピックス