会員様から

秋野不矩さん大好き
今までに出会った女の人でとっても心に残っている人がいる。その人は秋野不矩さん。お会いしたのは今から25年前のこと。子育てに追われバタバタ暮らしている時に彼女に会って話をすることが出来たことが、その後の私の人生の心の支えにもなったり、エネルギーの元になったりした。2001年に亡くなってしまったけど、天竜二俣で静岡県出身ということも誇りである。
 丁度第25回日本芸術大賞を受賞した時、お祝いのパーティーを静岡でもした。その時声を掛けていただき参加させていただいたことがある。
「絵描きとして生きてきて、ためすんです」という言葉の意味も25年前には理解できなかった。今は生きてきて、ためすその内包するエネルギーを私も私なりに保ちたいと思うようになっている。
何という力強さなんだろうと河を渡る水牛の大作『渡河』の作品。氾濫するダヤ河で滔々たる流れをくだる水牛の群れ。143.0× 365.0㌢のスケールだ。雄大な自然把握とみずみずしい色彩。作品から受けるパワーに圧倒される。
「画家は自分の色を出すために色に苦心しているのですが、たとえば『廻廊』ではインドの光の強さを表現するのに光の部分に金箔を5枚位貼って表わしたりしました。作品を描くときには、単に場所を描くということではなく、光と影の中で、インドの深い感じ、渇いた感じを表現しようとしました。心のメモをのせるということかもしれない・・」と語った言葉も忘れられない。
 お会いした浜松市美術館で『ナヴァグラハ』が展示されていた。サンスクリットでは9つの惑星・・神様なのだが、竹紙に黒で描いてあり、インパクトがあった。竹紙は竹を叩き柔らかくし、和紙を漉くようにつくった紙である。インドでは人々が神の像を描くことがすなわち祈り。竹紙に描いた力強い線がそのまま祈りだとしてもボコボコと盛り上がって出来ている竹紙と共鳴していた。「竹紙は水上勉氏の工房で漉いてもらった」と聞いて、その後水上勉氏の工房『若州一滴文庫』を福井県大飯郡おおい町まで訪ねて行ったことも懐かしい思い出になっている。その後私は地元で朝比奈和紙保存会の人達と『和紙を織る』体験のワークショップを企画したりもした。私なりに色々試していたんだと秋野不矩さんとの出会いを感謝した。
会員様から



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2018年09月13日 Posted by県美友の会 at 11:30 │トピックス