展覧会のお知らせ

友の会実技講座が11月20日(水)に「淡彩画講座」が開催されます。
講座の講師をして下さる 坂田和之氏 の個展のお知らせです。


(友の会実技講座の詳細は10月初旬にお知らせいたします。)  


2019年09月16日 Posted by 県美友の会 at 12:02トピックス

会員様からの寄稿

花泥棒

「花泥棒のコーヒーは美味しいよ」と久しぶりに会った知り合いが言った。「花泥棒・・懐かしい」と思わず口に出た。下北沢で入ったお店の匂いが蘇って心がワープした。
静岡県生まれの私も3人の孫を持つ年になってしまった。もう《東京へ家出したい》と思わないが、子供を育てている間でも東京への憧れがあった。うじうじ生きていた。「東京は生き馬の目を抜くところ」と話す母親に育てられ刷り込まれ、勇気が無かった私だった。そんな自分の過去の感情を話すと「そういうことを含めて才能が無かったんじゃない」と知り合いにやんわり一喝された。
息子が18歳のとき、私の目の前で両手を合わせ「東京へ行かせてください」と言った。そのしぐさは真剣そのもの。飛び立とうとしている心根に勿論何故かワクワクしてオッケーした。主人は「男が音楽なんかで食っていけるわけがないから」と言い放って無視した。でも私はその後東京で暮らしていくお金を送るために仕事をした。息子の一人応援団の私は心配やら喜びやら一言では語れない感情で仕事をこなして6年程過ぎた。やりたいことを自分で選んで、さらっと飛び立った
子供が羨ましかった。そんな息子を応援することが幸せな私だった。
ある日突然電話があって「もうお金送ってくれなくても大丈夫だから」と受話器の向こうからの声が聞こえた。その言葉にいい子だなーと思う私がいた。黙っていれはまだ黙々と送金するのは嫌じゃない。でも何とか食べていけることができるようになったのだとホッとした。同時に諦めてしまっている自分の夢の破片が見えて涙が流れた。
花泥棒という言葉の響きが好きだ。フランス風のイメージが沸きあがる・・・花が綺麗で盗みたいと思うほどの花が人生の中で一度だけあった。
寒い冬の山道の脇に咲いていたアジサイ。梅雨の頃のそのままの綺麗な形でまだ咲いていた。強い風にあたらない位置なので、形がそのまま残ることが出来たのだろう。パウル・クレーの《ポリフォニーに囲まれた白》の中の複雑な赤紫の色だったのだ。寒い冷気の中、自然の中でドライフラワーになって生まれた色なのだ。  
この環境の中でも、素敵な色になる方法をまだ模索したいと花を見ながら思った私自身だった。
  


2019年09月05日 Posted by 県美友の会 at 14:09トピックス

会員様からの寄稿

みほしるべ
静岡市三保松原文化創造センター



みほしるべは「三保を知る+道しるべ」の意味で生まれたネーミング。5年前に世界文化遺産「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として登録された「三保松原」。国内では17件目の世界遺産だった。(今は22件が世界遺産になっている)。その地に「静岡市三保松原文化創造センターみほしるべ」が開設された。
県立美術館友の会の会報誌のアトリエ訪問で取材し記事を書かせていただいた澤田裕一氏から作品(~松にふれて~)を展示していると案内が届き、出かけてみた。取材させていただいた澤田氏のメインテーマは「松ぼっくり」。センター内に展示されていた、版画は外光の中で輝いていた。会場で久しぶりにお会いできた。
到着するとセンター名誉館長の近藤誠一氏の講演があることがわかったので会場に入った。元外交官・文化庁長官。ユネスコの遺産に選ばれるための対策のポイントを熱く語った。三保は富士山から離れていたが日本人の心の中に三保と富士山が繋がっていることを説明した。目に見えないものの価値・精神性などを伝えた話だった。「プノンペンでの世界遺産委員会で、自作英文をネイティブの方たちのアドバイスを受けて手直し、アピーした」とぶっちゃけ話があった
 ところで、心魅かれて訪ねたい文化遺産。歴史の中から伝わってくる想いに触れてみたい。
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産に行って祈りたい。

  


2019年09月03日 Posted by 県美友の会 at 11:29トピックス