会員様からの寄稿

しぞーか(静岡)おでんと朝比奈大龍勢


静岡はおでんが美味しい。しぞーかおでんは大好きだ。竹串で具を刺している。お店では竹串の頭に赤やら黒やら色がついていて値段が違っていた。私の好きなのはコンニャク・じゃがいも・黒はんぺん。
若い頃はよく飲んだ。主人の友人で飲み友達の知り合いに柔道の選手がいたので、酔っ払うと大きな背中におんぶしてもらうのが楽しかった。お姫様抱っこでなくてお姫様おんぶである。「あっちへー」と呉服町の道をジグザグしながら移動した頃が本当に懐かしい。おでんには牛すじが大切だ。コトコトと弱火で長く煮込み独特のだしの味をつくる。最近では、しぞーかおでんの味のバックも売られていて、その中には牛すじのだしで美味しく濃い色のおでん汁が入ったものがある。今はもっぱらこの味のパックにお世話になっている。
私の住む岡部では2年に1度『朝比奈大龍勢』がある。田んぼの中に板でにわかの有料桟敷がつくられる。
花火は昼間から15分に1本あがり、全部でも15本。
夜まで続くが夜打ちは13本。のんびりとした昔ながらの龍勢花火なのだ。竹の巨大ロケット花火が白い煙を吹
きながら秋空に舞う県指定無形民族文化財のイベント。
暇に任せてあちこち知り合いの顔を捜しに。「来たら寄って」と言われた農家にも。敷地内にござを敷いて、沢山の親戚が集まっても大丈夫なように物凄く大きな鍋でおでんをコトコト煮ていた。サラリーマンの家に生まれた私にはびっくりだ。紙皿に自慢のおでんを振舞ってくれる。「ありがとう」といただいて移動しなから食べるおでんはまた絶品の味。花火が途中で失速するのもあるのだが、龍勢連の13チームが昔から連ごとに秘伝で伝えているので、上手くあがると大盛り上がりだ。戦国時代今川家臣の朝比奈氏と岡部氏が緊急用連絡の狼煙(のろし)が起源らしい。はたして本当に狼煙だったのかと実験したグループもあった。
秋空に白い煙がまるで龍の形になったのを見れば、その美しさと、いただいたおでんの味も忘れられない。


  


2021年07月09日 Posted by 県美友の会 at 13:36トピックス