会員様からの寄稿

近代土木遺産(兵庫県美方郡)

余部(あまるべ)橋梁(きょうりょう)

会員様からの寄稿
今回山陰本線(単線鉄道)で国道178号を跨ぐ橋梁を通る無人の餘部駅(あまるべえき)を偶然知った。旅行の途中トイレタイムで気軽に寄った道の駅で車を降りたとき、右の方角から沢山の人がマイクロバスへ戻ってきたので、「何かあるんですか?」と聞くと「空の駅があるんですよ」と教えてもらった。愛称余部クリスタルタワーの透明な箱型のエレベターから人が降りていた。高さは40㍍程。エレベーターの中から海も見渡せるかっこいいものだ。面白そうと乗ってみた。降りると、そこが「空の駅」だった。駅長は「かめだ そら」レールがあってその上を歩けるようになっていた。
餘部駅は今でも餘が難しい漢字だ。道の駅は平仮名で「あまるべ」。橋の名前は「余部」。ちょっと戸惑う。昭和34年、駅までの道とプラットホームをつくるために地元の子供達が海岸から石を運び上げて出来た駅。エレベーターができるまでは下から歩いて空の駅まで歩いたのだ。でも大きな鉄道事故が昭和61年に起きた。そんな昔のことではないが知らなかった。余部橋梁の雄姿と事故の教訓を何らかの形で後世に伝えいくことが求められて、一部を取り壊さずに餘部駅寄りの3本の橋脚と桁を残して鉄橋の展望台になったという訳だ。平成22年に余部橋梁が完成し、今回乗ったエレベーターは平成29年11月に完成したばかりだった。まだ1ヶ月たったばかり。ラッキーなタイミングだった。
どんな線路も実際に使われているところでは歩くのは禁止になっている。だから実際は現在の本線の横に元々あった線路を68㍍だけ残していて、歩けるようにしたのだ。20分程すると本当の列車が来る事がわかってプラットホームに立って待った。私は車人間なので、山陰本線は一度も乗ったことが無い。撮り鉄の男の人達がカメラを構えていて人気のある場所みたいだった。鈍空の下に海も見えて日本海なんだとしみじみ思った。
昔の列車の橋梁は電車からペットボトルを投げると40㍍下の道路に落ちたらしい。冬では橋梁に付いた雪も落下したという。そこで今回新しい橋梁は物が落ちない構造にしたという。
列車が出発すると自然に手を振っていた。列車の人も振ってくれた。旅の思い出はこんなことでも出来ていると思った。




同じカテゴリー(トピックス)の記事画像
実技講座申込受付中
白井嘉尚個展 はじまりは否定の否定 道なき森のなかへ
「ボタニカルア-ト作品展」のご案内
柳沢紀子氏展覧会のお知らせ
第7回 永野節子ボタニカルア-ト展
展覧会のお知らせ
同じカテゴリー(トピックス)の記事
 実技講座申込受付中 (2025-01-28 09:54)
 白井嘉尚個展 はじまりは否定の否定 道なき森のなかへ (2024-11-15 11:19)
 「ボタニカルア-ト作品展」のご案内 (2024-03-21 14:12)
 柳沢紀子氏展覧会のお知らせ (2024-02-22 09:22)
 第7回 永野節子ボタニカルア-ト展 (2023-09-21 09:21)
 友の会会員フロアレクチャー (2023-08-15 09:26)

2019年06月14日 Posted by県美友の会 at 10:21 │トピックス